[7大総合商社の銘柄分析]いま投資するに値する商社株を比較検討

銘柄比較

こんにちは。高配当株研究所、所長のトラ男です。
前回の不動産株に続き、今回は7大総合商社を横並びで比較分析して、いま投資するに値する商社株を見つけていきたいと思います。

商社株は稼ぐ力も高く高配当な銘柄が多く、高配当株投資をするならポートフォリオの一つにぜひ検討したい業界です。

7大総合商社の時価総額ランキング

まずは会社規模を比較するために時価総額のランキングを見ていきたいと思います。

会社名時価総額(2023/3/22時点)
1位三菱商事6兆8297億円
2位伊藤忠商事6兆5994億円
3位三井物産6兆67億円
4位丸紅2兆9322億円
5位住友商事2兆8423億円
6位豊田通商1兆8765億円
7位双日6502億円
7大総合商社の時価総額ランキング
[7大総合商社]時価総額ランキング
[7大総合商社]時価総額ランキング

三菱商事、伊藤忠商事、三井物産が6兆円を超え3強となっており、その次に丸紅、住友商事が3兆弱でここまでが5大総合商社となります。
7位の双日に至っては1位の三菱商事の1/10の時価総額となります。

配当利回りと配当成長率

続いてそれぞれの配当利回り(2023/3/23終値ベース)を見ていきたいと思います。
1位は住友商事で5.06%と高い利回りになっており、2位の双日も5.00%と高い水準となります。

会社名配当利回り(2023/3/23終値ベース)
1位住友商事5.06%
2位双日5.00%
3位丸紅4.52%
4位三菱商事3.89%
5位豊田通商3.62%
6位三井物産3.58%
7位伊藤忠商事3.36%
[7大総合商社]配当利回りの比較

ただし現在の配当利回りが高くても今後増配されなければ配当株投資としての旨味がありません。また現在配当利回りが低かったとしても増配を繰り返していくのであれば長期保有する旨味があります。

今後も増配していく銘柄なのかを見るために直近5年間の配当成長率を見ていきたいと思います。

[7大総合商社]配当利回りと配当成長率の比較
[7大総合商社]配当利回りと配当成長率の比較

こうして配当利回りと配当成長率の散布図で見ると双日と丸紅が頭ひとつ抜けており、ついで住友商事と豊田通商も配当利回りと配当成長率のいずれも高い水準にあり今後も増配を続けていく期待が持てます。
なお伊藤忠商事、三井物産、三菱商事も決して低い水準ではなく十分に高い水準であると感じます。

連続増配実績と減配リスク

次に連続増配の実績を見ていきたいと思います。
1位は豊田通商で13期連続増配予定となっています。伊藤忠商事、三菱商事も連続増配を続けています。

会社名連続増配実績減配リスク
1位豊田通商12期連続増配(13期連続予定)ほぼなし
2位伊藤忠商事7期連続増配(8期連続予定)ほぼなし
3位三菱商事6期連続増配(7期連続予定)ほぼなし
4位三井物産2期連続増配(3期連続予定)ほぼなし
5位丸紅2期連続増配予定ほぼなし
5位住友商事
双日
2期連続増配予定減配リスクあり
[7大総合商社]連続増配実績の比較

三菱商事や伊藤忠商事、丸紅は累進配当を株主還元方針で謳っていたり、三井物産、住友商事、双日は下限配当を設定するなど株主還元姿勢は高い。
豊田通商も13期連続増配予定で実質的な累進配当銘柄。

配当性向とEPS成長率

配当金の源泉はもちろん利益となります。配当性向があまりにも高すぎれば今後の増配余地がなくなりますし、新規事業への投資もできないため今後の発展も見込めません。
配当性向が適切な範囲か見ていきたいと思います。

会社名配当性向(前期実績)
三菱商事23.6%
伊藤忠商事19.9%
三井物産18.7%
丸紅25.3%
住友商事29.7%
豊田通商25.3%
双日30.1%
7大総合商社の配当性向比較

一番高い双日でも30%ほどでありいずれも無理して配当を出しているわけではありません。
十分に増配余地を残しており今後も増配を続けていける水準であると言えるでしょう。

続いて配当成長率とEPS成長率の関係を見ていきたいと思います。
配当成長率が高くてもEPS成長率(つまりは利益成長)が伴わなければ今後も同じように増配を続けていくことはできないからです。
直近5年の配当成長率とEPS成長率の平均値を散布図で見ていきます。

[7大総合商社]配当成長率とEPS成長率の比較
[7大総合商社]配当成長率とEPS成長率の比較

丸紅が配当成長率、EPS成長率共に高く頭ひとつ抜けていることが分かります。
次点で双日、住友商事、三井物産が続きます。

株価上昇率の比較

続いて株価が上昇しているのか、それとも下落しているのかを比較していきたいと思います。
いくら配当利回りが高く増配を続けたとしても株価が配当収入以上に下落してはもとも子もありません。

会社名株価上昇率
(直近10年)
株価上昇率
(直近5年)
株価上昇率
(直近2年)
1位伊藤忠商事14.9%14.7%9.0%
2位双日14.2%7.8%27.3%
3位三井物産11.2%15.2%27.5%
4位三菱商事9.9%8.5%19.4%
5位丸紅9.4%14.8%33.2%
6位豊田通商8.7%4.9%5.3%
7位住友商事7.0%3.7%18.6%
株価上昇率の比較

いずれも株価は右肩上がりで上昇しています。

PER/PBR/ROEの比較

最後にPERとROE、PBRとROEを比較することで稼ぐ力がどれくらいあるのか、また割安なのか割高なのかを見ていきたいと思います。

[7大総合商社]ROEとPERの比較
[7大総合商社]ROEとPERの比較
[7大総合商社]ROEとPBRの比較
[7大総合商社]ROEとPBRの比較

ROEが高く、PBRが低ければ稼ぐ力がありつつ株価が割安であるということになりますが、ROEが高いものはPBRも高くなっており割安で放置されているものはない印象です。

なお商社は資源価格などによって業績が大きく左右されることがありますのでROEも大きくブレますのでROEの推移も見ていきたいと思います。

[7大総合商社]ROE推移
[7大総合商社]ROE推移

ROEの推移を見ると伊藤忠商事が常に高い水準を維持しているのが分かります。
伊藤忠と丸紅は非資源の割合が総合商社の中でも高く資源価格の影響が比較的小さいのが要因と考えられます。

なおROEは自己資本比率が低いと高くなりますので、ROEが高いだけでは注意が必要となりますが、ROEと自己資本比率の比較をしてみると極端に自己資本比率が低い銘柄はありません。
三井物産、伊藤忠商事は自己資本比率も高くROEも高くなっており好感が持てます。

[7大総合商社]ROEと自己資本比率の比較
[7大総合商社]ROEと自己資本比率の比較

高配当の総合商社株としてどれを選ぶか

ここまで様々に比較してみましたが、商社株はどの株も十分に投資に値する銘柄ばかりでどれか一つに絞るのは大変難しいです。そのためいくつかの観点で4つ選んでみました。

三菱商事 :絶対王者の安定感
伊藤忠商事:非資源に強く安定的に稼ぐ力あり
丸紅   :配当成長率とEPS成長率が高く直近株価も急上昇
双日   :伸び代大で今後に期待

三菱商事を選んだ理由

三菱商事は総合商社の中で時価総額1位(6兆8297億円)であり、現在の配当利回りは総合商社株の中で中間に位置し3.89%となっています。
さらに配当成長率、EPS成長率ともに最下位ではありますが配当性向は23.6%と余裕があり、累進配当を株主還元方針で明言しており減配リスクはありません。実績としても6期連続増配中で今期で7期連続増配の予定です。

株価は右肩上がりで、特に直近2年は力強い上昇を見せています。

8058_三菱商事_株価推移
[8058/三菱商事]株価推移(10年月足チャート)

また現在30%の配当性向は将来的に35%まで引き上げていく方針としており、配当面において今後の期待値は大きいです。5年後の配当金は400円を超える可能性も十分にあり、その場合のYOC(取得単価における配当利回り)は8.72%ほどになります。

伊藤忠商事を選んだ理由

伊藤忠商事を選んだ理由としては非資源に強く資源価格の影響を受けにくく、安定的に稼ぐ力があるという点が挙げられます。
8期連続増配予定で累進配当銘柄を謳っており、減配リスクはありません。
さらに配当性向は前期は19.90%、今期は25.65%の予想となっていますが、2023年度には配当性向30%をコミットメントしており来期も大幅な増配が期待できます。

株価は右肩上がりで上昇率も高く、今後も株価の上昇が期待できます。

[8001]伊藤忠商事の株価推移(10年月足チャート)
[8001]伊藤忠商事の株価推移(10年月足チャート)

丸紅を選んだ理由

丸紅を選んだ理由としては配当成長率(21.94%)とEPS成長率(22.27%)がいずれも高い点が挙げられます。
現時点で配当利回り(4.52%)も高く、今後も大きな増配が期待できます。
また2023/2/3に新たな株主還元方針を発表し累進配当制の導入を宣言し減配リスクありません

株価は長く横ばいでしたが、直近2年で力強く上がっており直近2年の株価上昇率は7大商社でもダントツの1位です。

[8002]丸紅の株価推移(10年月足チャート)
[8002]丸紅の株価推移(10年月足チャート)

双日を選んだ理由

双日を選んだ理由として配当利回りの高さ(5.00%)と配当成長率の高さ(21.52%)が挙げられます。

株価は右肩上がりで株価上昇の期待値も高いです。

[2768]双日の株価推移(10年月足チャート)

また現中期経営計画では24/3期までにPBR1倍を定量目標の一つとして掲げています。
現在の双日のPBRは約0.71倍で、PBR1倍にするためには株価は3700円ほどに引き上げる必要があります。
東証のPBR1倍割れ企業に対しての改善要求もあり、株価向上のための大胆な施策をここ1年で行う可能性があります。その場合は大きく株価が上昇する可能性があり投資妙味があると感じます。

7大総合商社の銘柄比較は以上になります。いかがだったでしょうか。
個別の銘柄分析の記事は以下になります。合わせてご覧ください。

みなさんの投資判断の参考になれば幸いです。

※本記事は株式の取得、売却、保有等を推奨するものではありません。投資は自己判断でお願いします。


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