こんにちは。高配当株研究所、所長のトラ男です。
2022年12月の日銀の長期金利の変動幅引き上げの影響で不動産関連銘柄は軒並み大幅に株価が急落し、回復しつつあるかと思えばSVB破綻でまた下げ、不動産株は軒並み株価は低迷しています。
不動産株は高配当な銘柄が多く、高配当株投資をするならポートフォリオの一つにぜひ検討したい業界です。今回は不動産株を横並びで比較分析して、いま投資するに値する不動産株を見つけていきたいと思います。
不動産株の時価総額ランキング
まずは会社規模を比較するために時価総額のランキングを見ていきたいと思います。
※業界地図の不動産に分類されている企業の比較としているため、戸建て住宅のオープンハウスグループなどは含めておりません。
会社名 | 時価総額(2023/3/22時点) | |
1位 | 三井不動産 | 2兆2724億円 |
2位 | 三菱地所 | 2兆857億円 |
3位 | 住友不動産 | 1億3951億円 |
4位 | ヒューリック | 8024億円 |
5位 | 野村不動産HD | 5263億円 |
6位 | 東急不動産HD | 4527億円 |
7位 | 東京建物 | 3260億円 |
三井不動産と三菱地所が2兆円を超える2強となっており、住友不動産、ヒューリック、野村不動産HD、東急不動産HD、東京建物と続きます。
配当利回りと配当成長率
続いてそれぞれの配当利回り(2023/3/22終値ベース)を見ていきたいと思います。
1位は東京建物で4.62%と高い利回りになっており、2位のヒューリックも4.40%と高い水準となります。
会社名 | 配当利回り(2023/3/22終値ベース) | |
1位 | 東京建物 | 4.62% |
2位 | ヒューリック | 4.40% |
3位 | 野村不動産HD | 4.00% |
4位 | 東急不動産HD | 3.02% |
5位 | 三井不動産 | 2.50% |
6位 | 三菱地所 | 2.41% |
7位 | 住友不動産 | 1.77% |
ただし現在の配当利回りが高くても今後増配されなければ配当株投資としての旨味がありません。また現在配当利回りが低かったとしても増配を繰り返していくのであれば長期保有する旨味があります。
今後も増配していく銘柄なのかを見るために直近5年間の配当成長率を見ていきたいと思います。
こうして配当利回りと配当成長率の散布図で見ると東京建物とヒューリックが配当利回りと配当成長率のいずれも高い水準にあり今後も増配を続けていく期待が持てます。
連続増配実績と減配リスク
次に連続増配の実績を見ていきたいと思います。
1位はヒューリックで15期連続増配予定となっています。野村不動産と東京建物、住友不動産も連続増配を続けています。
会社名 | 連続増配実績 | 減配リスク | |
1位 | ヒューリック | 14期連続増配(15期連続予定) | ほぼなし |
2位 | 野村不動産HD | 10期連続増配(11期連続予定) | ほぼなし |
3位 | 東京建物 | 9期連続増配(10期連続予定) | ほぼなし |
4位 | 住友不動産 | 8期連続増配(9期連続予定) | ほぼなし |
5位 | 三井不動産 東急不動産HD | 2期連続増配予定 | ほぼなし |
5位 | 三菱地所 | 2期連続増配予定 | 減配リスクあり |
ほとんどの銘柄が直近で減配実績がなく減配リスクはほぼありませんが、三菱地所だけ21/3期に減配しており減配リスクありとなります。
配当性向とEPS成長率
配当金の源泉はもちろん利益となります。配当性向があまりにも高すぎれば今後の増配余地がなくなりますし、新規事業への投資もできないため今後の発展も見込めません。
配当性向が適切な範囲か見ていきたいと思います。
会社名 | 配当性向(前期実績) |
三井不動産 | 29.8% |
三菱地所 | 30.9% |
住友不動産 | 14.2% |
ヒューリック | 40.4% |
野村不動産HD | 31.7% |
東急不動産HD | 34.8% |
東京建物 | 31.5% |
ヒューリックが40%とこの中では高いですが、ヒューリックはEPS成長率も高いのでこの配当性向でも問題ないでしょう。住友不動産はもう少し配当を出しても良いかなと個人的には感じます。
続いて配当成長率とEPS成長率の関係を見ていきたいと思います。
配当成長率が高くてもEPS成長率(つまりは利益成長)が伴わなければ今後も同じように増配を続けていくことはできないからです。
直近5年の配当成長率とEPS成長率の平均値を散布図で見ていきます。
東京建物が配当成長率も高く、そして同じくらいEPS成長率も高いことが分かります。
次点でヒューリックが続きます。
株価上昇率の比較
続いて株価が上昇しているのか、それとも下落しているのかを比較していきたいと思います。
いくら配当利回りが高く増配を続けたとしても株価が配当収入以上に下落してはもとも子もありません。
会社名 | 株価上昇率 (直近10年) | 株価上昇率 (直近5年) | 株価上昇率 (直近2年) | |
1位 | 野村不動産HD | 5.1% | 3.3% | 9.2% |
2位 | 東京建物 | 4.8% | 1.4% | 2.9% |
3位 | ヒューリック | 4.2% | -2.7% | -7.2% |
4位 | 三井不動産 | 0.9% | -0.4% | 1.4% |
5位 | 住友不動産 | 0.2% | -3.8% | -7.8% |
6位 | 三菱地所 | -2.8% | -2.2% | -4.1% |
7位 | 東急不動産HD | -3.0% | -3.7% | -0.2% |
1位は野村不動産HD、2位は東京建物となりました。
PER/PBR/ROEの比較
最後にPERとROE、PBRとROEを比較することで稼ぐ力がどれくらいあるのか、また割安なのか割高なのかを見ていきたいと思います。
ROEが高く、PERやPBRが低ければ稼ぐ力がありつつ株価が割安であるということになりますので、ヒューリックや東京建物、野村不動産HD、住友不動産あたりは銘柄選定の対象になりそうです。
逆に三井不動産や三菱地所、東急不動産HDは相対的にROEが低く、PERが高いため割高感を感じます。
なおROEは自己資本比率が低いと高くなりますので、ROEが高いだけでは注意が必要となりますが、ROEと自己資本比率の比較をしてみると極端に自己資本比率が低い銘柄はありません。
高配当の不動産株としてどれを選ぶか
ここまで様々に比較してみましたが、私が高配当株として不動産業から銘柄選定をするのであれば迷わず東京建物を選びます。次点でヒューリックとなります。
東京建物を選んだ理由
東京建物は現在の配当利回りは不動産業の中でも1番高く4.62%となっています。
さらに配当成長率、EPS成長率ともに1位であり配当の源泉である利益成長をしっかりと果たしながら配当金も増配し続けています。
東京建物は12月決算ですが、今期で10期連続増配の予定です。
前期の配当性向の実績値は31.5%で増配余地は十分にあり、減配リスクは極めて低いと考えられます。
また以下のように配当性向を毎年少しずつ引き上げており株主還元姿勢も高いと感じます。
決算期 | 17/12期 | 18/12期 | 19/12期 | 20/12期 | 21/12期 | 22/12期 | 23/12期(予) |
配当金 | 30円 | 35円 | 41円 | 46円 | 51円 | 65円 | 72円 |
配当性向 | 28.8% | 27.8% | 29.0% | 30.2% | 30.5% | 31.5% | 33.8% |
増配率 | – | +16.67% | +17.14% | +12.20% | +10.87% | +27.45% | +10.77% |
株価はほぼ横ばいで、ボックス相場を形成しています。現在の株価は底値圏とは言えませんが配当利回り4.62%と高い水準であることと、2022年12月の日銀の長期金利の変動幅引き上げやSVB破綻の影響で株価は急落して移動平均線の下にあることから下値リスクよりも上値期待の方が大きいと判断しました。
ROEとPER/PBRを見ても稼ぐ力がありかつ割安であると言えます。
ヒューリックを選んだ理由
東京建物の次点としてヒューリックも選んでいます。
ヒューリックを選んだ理由としては配当利回りが4.4%と高いことと配当成長率とEPS成長率が共に高いことが挙げられます。
配当性向は唯一40%を超えていますが、EPS成長率が高いため問題ない水準であると考えます。
15期連続増配予定であり減配リスクも極めて低いのもポイントです。
株主優待銘柄でもあり300株保有するとカタログギフトがもらえます。
株価は長くボックス相場を形成しており、直近2年の週足チャートを見ると1,000円を割ることはほとんどありません。
直近2年だと2022年3月7日週に唯一1,000円を割って982円の安値をつけています。
現在株価はほぼ底値圏であり下値リスクよりも上値期待値の方が高く、十分に買いの水準であると考えます。
ROEとPER/PBRを見ても稼ぐ力がありかつ割安であると言えます。
不動産株の銘柄比較は以上になります。いかがだったでしょうか。
個別の銘柄分析の記事は以下になります。合わせてご覧ください。
みなさんの投資判断の参考になれば幸いです。
※本記事は株式の取得、売却、保有等を推奨するものではありません。投資は自己判断でお願いします。
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