こんにちは。高配当株研究所、所長のトラ男です。
不動産、7大総合商社、メガ損保、通信大手3社に引き続き、リース会社を横並びで比較分析して、いま投資するに値するリース株を見つけていきたいと思います。
リース株は三菱HCCを筆頭に連続増配株が多く、高配当な銘柄が多いので高配当株投資をするならポートフォリオの一つにぜひ検討したい業界です。
リース大手7社の時価総額ランキング
まずは会社規模を比較するために時価総額のランキングを見ていきたいと思います。
会社名 | 時価総額(2023/5/2時点) | |
1位 | オリックス | 2兆8487億円 |
2位 | 三菱HCキャピタル | 1兆312億円 |
3位 | 東京センチュリー | 5739億円 |
4位 | 芙蓉総合リース | 2937億円 |
5位 | みずほリース | 1876億円 |
6位 | リコーリース | 1224億円 |
7位 | NECキャピタルソリューション | 578億円 |
時価総額で比較するとオリックスが飛びぬけているのが分かります。2位の三菱HCCでもオリックスの2分の1、4位の芙蓉総合リースでオリックスの10分の1となります。
なお国内のリース市場は頭打ちであると言われており、オリックスなどはリースを祖業として今もリースは主力事業ですが銀行や不動産など経営の多角化を進めていたり、海外進出するなどしています。
今後は国内リースだけでなく、多角化や海外進出などに対応できるのかは成長の一つの鍵になると思われます。
配当利回りと配当増配率
続いてそれぞれの配当利回り(2023/5/2終値ベース)を見ていきたいと思います。
1位はNECキャピタルソリューションで4.84%とかなり高い水準です。2位は三菱HCキャピタルで4.41%とこちらも十分に高い利回りです。最も低い東京センチュリーでも3.07%でやはりリース会社は高配当な銘柄が多いです。
会社名 | 配当利回り(2023/5/2終値ベース) | |
1位 | NECキャピタルソリューション | 4.84% |
2位 | 三菱HCキャピタル | 4.41% |
3位 | オリックス | 3.71% |
4位 | リコーリース | 3.44% |
5位 | みずほリース | 3.39% |
6位 | 芙蓉総合リース | 3.26% |
7位 | 東京センチュリー | 3.07% |
ただし現在の配当利回りが高くても今後増配されなければ配当株投資としての旨味がありません。また現在配当利回りが低かったとしても増配を繰り返していくのであれば長期保有する旨味があります。
今後も増配していく銘柄なのかを見るために直近の配当増配率を見ていきたいと思います。
こうして配当利回りと配当成長率の散布図で見ると三菱HCキャピタル、NECキャピタルソリューション、芙蓉総合リース、リコーリースあたりが配当においては期待値が高そうです。
連続増配実績と減配リスク
次に連続増配の実績を見ていきたいと思います。
1位はやはりリコーリースで27期連続増配、ついで三菱HCキャピタルで23期連続増配となっています。
会社名 | 連続増配実績 | 減配リスク | |
1位 | リコーリース | 27期連続増配(28期連続増配予定) | ほぼなし |
2位 | 三菱HCキャピタル | 23期連続増配(24期連続増配予定) | ほぼなし |
3位 | 東京センチュリー | 18期連続増配 | ほぼなし |
4位 | 芙蓉総合リース | 17期連続増配(18期連続増配予定) | ほぼなし |
5位 | みずほリース | 17期連続増配(18期連続増配予定) | ほぼなし |
6位 | オリックス | 2期連続増配 | ほぼなし |
7位 | NECキャピタルソリューション | 2期連続増配予定 | ほぼなし |
オリックスは12期以上減配なしの実績があり、NECキャピタルソリューションも配当性向に余裕をもったせており、いずれの銘柄も減配リスクが少ない銘柄となります。
配当性向とEPS成長率
配当金の源泉はもちろん利益となります。配当性向があまりにも高すぎれば今後の増配余地がなくなりますし、新規事業への投資もできないため今後の発展も見込めません。
配当性向が適切な範囲か見ていきたいと思います。
会社名 | 配当性向(前期実績) |
三菱HCキャピタル | 40.5% |
みずほリース | 35.7% |
東京センチュリー | 34.7% |
オリックス | 33.0% |
リコーリース | 27.4% |
芙蓉総合リース | 25.2% |
NECキャピタルソリューション | 23.0% |
いずれの銘柄もそこまで配当性向は高すぎるということはありませんのでまだまだ増配していく余地はありそうです。
続いて配当増配率とEPS成長率の関係を見ていきたいと思います。
配当増配率が高くてもEPS成長率(つまりは利益成長)が伴わなければ今後も同じように増配を続けていくことはできないからです。
直近5年の配当増配率とEPS成長率の平均値を散布図で見ていきます。
芙蓉総合リース、NECキャピタルソリューション、みずほリースは配当増配率とEPS成長率のどちらも高い水準にありバランスもよく今後も順調に増配を続けていける安心感があります。
他の4社はEPS成長率が低く今後EPS成長率が上向いていくか注視していく必要がありそうです。
株価上昇率の比較
続いて株価が上昇しているのか、それとも下落しているのかを比較していきたいと思います。
いくら配当利回りが高く増配を続けたとしても株価が配当収入以上に下落してはもとも子もありません。
株価上昇率 | 会社名 | 直近10年 | 直近5年 | 直近2年 | 平均 |
1位 | 芙蓉総合リース | 9.9% | 3.8% | 12.2% | 8.6% |
2位 | オリックス | 6.2% | 3.8% | 11.7% | 7.2% |
3位 | NECキャピタルソリューション | 1.4% | 2.4% | 10.5% | 4.7% |
4位 | 三菱HCキャピタル | 4.0% | 0.1% | 7.8% | 4.6% |
5位 | リコーリース | 4.0% | 0.6% | 7.9% | 4.2% |
6位 | みずほリース | 2.2% | 3.5% | 3.2% | 3.1% |
7位 | 東京センチュリー | 6.9% | -1.8% | -0.6% | 2.8% |
株価上昇率を比較してみると芙蓉総合リースが一番キャピタル期待値が高そうです。
PER/PBR/ROEの比較
最後にPERとROE、PBRとROEを比較することで稼ぐ力がどれくらいあるのか、また割安なのか割高なのかを見ていきたいと思います。
ROEが高く、PBRが低ければ稼ぐ力がありつつ株価が割安であるということになりますが、割安で放置されているものはない印象です。
※なお東京センチュリーは前期の数字で表示しています
なおROEは自己資本比率が低いと高く、自己資本比率が高いと低くなります。また自己資本比率が低いと財務的にレバレッジが効いている形となります。
オリックスは自己資本比率が頭一つ抜けて高いので、オリックスは他の会社に比べて財務的には安定していると言えるでしょう。
高配当のリース株としてどれを選ぶか
ここまで様々に比較してみましたが、リース株の中から投資対象にするのであれば私であれば芙蓉総合リースを選びます。次点でオリックス(ただし100株)かNECキャピタルソリューションを選びます。
芙蓉総合リースを選んだ理由
芙蓉総合リースはリース大手7社の中で時価総額4位(2,937億円)のみずほ系のリース会社です。中長期的にトランスフォーメーションゾーンに経営資源を投下し、「脱ファイナンス・リース」「脱金融」を目指していくとしており、リースだけでなく多角化していく戦略を取っています。
現在の配当利回りは3.26%と7社中6位と相対的に低いですが、配当増配率とEPS成長率がともに高く中長期でみるとインカムの期待値は高い銘柄です。
また18期連続増配予定であり実質的な累進配当銘柄となり減配リスクは極めて低いのも魅力です。配当性向も7社中6位の25.2%の低さであり、さらに27/3期までに配当性向30%まで引き上げるとしており今後も堅調に増配していくことが期待できます。
株価も右肩上がりで、直近10年、5年、2年のいずれの期間で比較しても株価上昇率は芙蓉総合リースが一番でキャピタル面での期待値も高いです。
株価上昇によるキャピタルゲイン、配当増配によるインカムゲインのいずれにおいても期待値が高く、芙蓉総合リースは高配当株として投資したいと思える銘柄です。
なお株主優待(カタログギフト)が100株以上保有でもらえますが97万円ほど投資資金が必要となり、値嵩株である点は投資しにくい銘柄となっていると言えます。
オリックスを選んだ理由
オリックスはリース大手7社の中で時価総額1位(2兆8487億円)でリースを祖業としていますが現在は銀行や不動産など経営の多角化をしており、また海外進出もしています。
現在の配当利回りは3.71%で7社中3位、配当増配率とEPS成長率は低いですが、今期をもって株主優待を廃止して配当などに集約するとしており、今期は優待をもらって総合利回り5.87%を享受し、来期以降は大幅な増配がされるはずなので、まだ保有していないのであれば100株購入するのはありだと感じます。
NECキャピタルソリューションを選んだ理由
NECキャピタルソリューションはリース大手7社の中で時価総額7位(578億円)のNECの持分法適用関連会社です。
現在の配当利回りは4.84%で7社中1位でかなりの高配当となっています。連続増配を続けているわけではありませんが、配当性向を一時的に引き上げてでも減配せずに着実に配当を増やしています。配当増配率とEPS成長率のいづれも高く、配当性向もまだまだ低いので今後も着実な増配が期待できます。
惜しむらくは株主還元方針に具体的な数字の記載がなくはっきりとした株主還元姿勢を示せていないことは残念です。
株価自体はパッとしませんがこちらも100株購入してカタログギフトをもらいつつ長期で保有するのはありだと感じます。
リース大手7社の銘柄比較は以上になります。いかがだったでしょうか。
個別の銘柄分析の記事は以下になります。合わせてご覧ください。
みなさんの投資判断の参考になれば幸いです。
※本記事は株式の取得、売却、保有等を推奨するものではありません。投資は自己判断でお願いします。
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