こんにちは。高配当株研究所、所長のトラ男です。
不動産株や7大総合商社、メガ損保に続き、今回は通信大手3社(NTT、KDDI、ソフトバンク)を横並びで比較分析して、いま投資するに値する通信株を見つけていきたいと思います。
通信業は周波数帯は免許制なので参入障壁が高く景気などに左右されづらいディフェンシブ銘柄で高配当な銘柄が多いので高配当株投資をするならポートフォリオの一つにぜひ検討したい業界です。
通信大手3社の時価総額ランキング
まずは会社規模を比較するために時価総額のランキングを見ていきたいと思います。
会社名 | 時価総額(2023/4/7時点) | |
1位 | NTT(日本電信電話) | 14兆2308億円 |
2位 | KDDI | 9兆2891億円 |
3位 | ソフトバンク | 7兆1735億円 |
時価総額で比較するとやはりNTTがダントツの首位でKDDI、ソフトバンクと続きます。
配当利回りと配当成長率
続いてそれぞれの配当利回り(2023/4/7終値ベース)を見ていきたいと思います。
1位はソフトバンクで5.74%と非常に高い利回りになっており、2位のKDDI(3.35%)と3位のNTT(3.05%)の倍近い水準となっています。
会社名 | 配当利回り(2023/4/7終値ベース) | |
1位 | ソフトバンク | 5.74% |
2位 | KDDI | 3.35% |
3位 | NTT(日本電信電話) | 3.05% |
ただし現在の配当利回りが高くても今後増配されなければ配当株投資としての旨味がありません。また現在配当利回りが低かったとしても増配を繰り返していくのであれば長期保有する旨味があります。
今後も増配していく銘柄なのかを見るために直近の配当増配率を見ていきたいと思います。
こうして配当利回りと配当成長率の散布図で見るとソフトバンクは配当利回りは高いですが配当増配率の低さが目立ちます。
取得株価での配当利回りで考えるとこの増配率であれば7年後にはNTTはソフトバンクの利回りを超え、8年後にはNTTはKDDIの利回りを超える公算です。
連続増配実績と減配リスク
次に連続増配の実績を見ていきたいと思います。
1位はKDDIで21期連続増配予定、ついでNTTが12期連続増配予定となっています。
会社名 | 連続増配実績 | 減配リスク | |
1位 | KDDI | 20期連続増配(21期連続増配予定) | ほぼなし |
2位 | NTT | 11期連続増配(12期連続増配予定) | ほぼなし |
3位 | ソフトバンク | 3期連続で据え置き予定 | ほぼなし |
KDDIもNTTも実質的な累進配当銘柄であり増配を今後も続けていくと思われます。ソフトバンクは減配はしないと明言しているため減配リスクは低いですが、増配期待値は低いです。
配当性向とEPS成長率
配当金の源泉はもちろん利益となります。配当性向があまりにも高すぎれば今後の増配余地がなくなりますし、新規事業への投資もできないため今後の発展も見込めません。
配当性向が適切な範囲か見ていきたいと思います。
会社名 | 配当性向(前期実績) |
NTT(日本電信電話) | 34.9% |
KDDI | 41.7% |
ソフトバンク | 78.2% |
ソフトバンクは異常に高いですが株主還元方針で総還元性向85%程度を謳っているためとなります。
NTTとKDDIは適正な範囲であると感じますがNTTの方が余裕のある配当性向となっています。
続いて配当増配率とEPS成長率の関係を見ていきたいと思います。
配当増配率が高くてもEPS成長率(つまりは利益成長)が伴わなければ今後も同じように増配を続けていくことはできないからです。
直近5年の配当増配率とEPS成長率の平均値を散布図で見ていきます。
こうしてみるとソフトバンクは論外ですが、NTTの強さが際立ちます。
NTTはは配当増配率とEPS成長率のどちらも高い水準にありバランスもよく今後も順調に増配を続けていける安心感があります。
株価上昇率の比較
続いて株価が上昇しているのか、それとも下落しているのかを比較していきたいと思います。
いくら配当利回りが高く増配を続けたとしても株価が配当収入以上に下落してはもとも子もありません。
株価上昇率 | 会社名 | 直近10年 | 直近5年 | 直近2年 | 平均 |
1位 | NTT(日本電信電話) | 13.8% | 8.7% | 18.7% | 13.7% |
2位 | KDDI | 12.2% | 7.6% | 10.6% | 10.1% |
3位 | ソフトバンク | – | 2.9% | 3.9% | 3.4% |
株価上昇率に関してもどの期間(直近10年、5年、2年)で見てもNTTのひとり勝ち状態であることが分かります。
NTTが一番キャピタル期待値が高そうです。
PER/PBR/ROEの比較
最後にPERとROE、PBRとROEを比較することで稼ぐ力がどれくらいあるのか、また割安なのか割高なのかを見ていきたいと思います。
ROEが高く、PBRが低ければ稼ぐ力がありつつ株価が割安であるということになりますが、割安で放置されているものはない印象です。
ソフトバンクのROEだけとびぬけて高いですがこれは自己資本比率の低さによるものです。
ROEは自己資本比率が低いと高くなるからです。
ソフトバンクは自己資本比率が15%と他の2社に比べて低くそのためROEが高くなっていたのでした。
高配当の通信株としてどれを選ぶか
ここまで様々に比較してみましたが、通信株の中から投資対象にするのであれば私であれば迷わず王者NTT(日本電信電話)を選びます。次点で100株までであれば株主優待目的でKDDIを購入します。
NTT(日本電信電話)を選んだ理由
NTTは通信大手3社の中で時価総額1位(14兆2308億円)であり、現在の配当利回りは通信大手3社の中では一番低く3.05%となっていますが12期連続増配予定で実質的な累進配当銘柄となっています。
配当増配率とEPS成長率のいずれも他の2社よりも高く、今後も高い水準で増配を続けてくれる確度が高いと考えられます。
また配当増配率の高さから8年後には取得単価あたりの配当利回りは他の2社を上回る公算ですので長期で見たときのインカム期待値は一番となります。
株価は右肩上がりで、直近10年、5年、2年のいずれの期間で比較しても株価上昇率はNTTが一番でした。
株価上昇によるキャピタルゲイン、配当増配によるインカムゲインのいずれにおいても期待値が高く、安定感があるNTTが一番投資したいと思わせる銘柄でした。
通信大手3社の銘柄比較は以上になります。いかがだったでしょうか。
個別の銘柄分析の記事は以下になります。合わせてご覧ください。
みなさんの投資判断の参考になれば幸いです。
※本記事は株式の取得、売却、保有等を推奨するものではありません。投資は自己判断でお願いします。
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