こんにちは、高配当株研究所、所長のトラ男です。
今回はメガ損保の一角のMS&ADを高配当株として分析、研究していきたいと思います。
MS&ADとは
MS&ADは保険業で3メガ損保の一つです。あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険、三井住友海上グループホールディングスの3社の経営統合により誕生した持株会社で、日経225指数にも採用されています。
株主還元方針
MS&ADは配当利回り4.83%(2023/3/28終値ベース)と高配当株として高い水準になります。
現在の株主還元方針は以下の通りです。
グループ修正利益の50%を基本に配当と自己株式取得で還元実施。(24/3期まで)
還元ベース利益の50%を基本に配当と自己株式取得で還元実施。(26/3期まで)
グループ修正利益は異常危険準備金などの影響を除外したものであり、還元ベース利益は前中期経営計画におけるグループ修正利益からの継続性を踏まえ還元ベース利益が大きく変わることのないよう会計上の利益(IFRS純利益) を修正するものとIR資料に記載があります。
株主優待
株主優待制度はありません。
配当推移と5年後の期待配当利回り
配当金の増配率は直近5年の平均で年率8.4%、EPS成長率は直近5年の平均で年率6.2%となっています。
配当金とEPS(1株利益)の推移をグラフで見てみます。
![[8725]MS&ADの配当金とEPSの推移](https://high-dividend.com/wp-content/uploads/2023/03/c520e434ed2efdeaeffad874feb804a7.png)
MS&ADに関してはグループ修正利益という考え方があります。
グループ修正利益
https://www.ms-ad-hd.com/ja/word_point/word0054.html
連結当期利益+異常危険準備金等繰入額ーその他特殊要因+非連結グループ会社持分利益
配当金はこのグループ修正利益をもとに計算されるためEPSを基準とした考え方とは少し異なります。
決算期 | 17/3期 | 18/3期 | 19/3期 | 20/3期 | 21/3期 | 22/3期 | 23/3期(予) |
配当金 | 120円 | 130円 | 140円 | 150円 | 155円 | 180円 | 200円 |
配当性向 | 34.2% | 50.0% | 42.6% | 60.4% | 60.6% | 37.9% | 76.3% |
増配率 | – | +8.33% | +7.69% | +7.14% | +3.33% | +16.13% | +11.11% |
決算期 | 17/3期 | 18/3期 | 19/3期 | 20/3期 | 21/3期 | 22/3期 | 23/3期(予) |
EPS | 350.95円 | 260.04円 | 328.72円 | 248.36円 | 255.79円 | 474.52円 | 262.04円 |
成長率 | – | -25.90% | +26.41% | -24.45% | 2.99% | +85.51% | -44.78% |
直近5年間の配当金の平均増配率は年率8.4%で、このペースで成長すれば5年後の配当金は277円となり、現在株価で購入すれば5年後の配当取得利回り(YOC)は6.68%になっていると期待できます。
株価推移と5年後の期待株価
MS&ADの株価は直近10年の月足チャートで見るとほ右肩上がりで上昇しています。
しかし直近のSVB破綻の影響で銀行株だけでなく保険関連株も下げており、MS&ADも大きく下げて12ヶ月移動平均線を下回っています。これは前月から7.0%の下落となっています。

株価上昇率は10年平均で年7.9%となっており、このペースを維持できれば5年後の株価は6,085円になっていると期待でき、47.0%増の予想となります。
MS&ADの高配当株としての評価と投資判断
MS&ADは10期連続増配予定で、株価は基本的に右肩上がりとなっており、SVB破綻の影響で先月から7.0%も株価は下落しており現在の配当利回りは4.83%(2023/3/28終値ベース)となっています。
10期連続増配予定は魅力的な増配実績ではありますが、今期のグループ修正利益は特殊要因を除いても横ばいでメガ損保3社の中でも見劣りします。
また配当増配率やEPS成長率、株価成長率のいづれもメガ損保の中では見劣りし、メガ損保株として敢えてMS&ADを選択する理由はないかと思います。
会社名 | 株価上昇率 | 配当増配率 | EPS成長率 |
東京海上HD | 12.3% | 12.7% | 11.0% |
MS&AD | 7.9% | 8.4% | 6.2% |
SOMPO HD | 11.5% | 18.5% | 9.0% |

MS&ADの5年後における総合期待リターン(株価上昇+配当益)は+75.6%の予想で、総合評価はCしました。
みなさんの投資判断の参考になれば幸いです。
※本記事は株式の取得、売却、保有等を推奨するものではありません。投資は自己判断でお願いします。
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