[メガ損保3社の銘柄分析]いま投資するに値する損保株を比較検討

銘柄比較

こんにちは。高配当株研究所、所長のトラ男です。
前回の不動産株や7大総合商社に続き、今回はメガ損保3社を横並びで比較分析して、いま投資するに値する損保株を見つけていきたいと思います。

損保は参入障壁が高く稼ぐ力も高く、高配当な銘柄が多いので高配当株投資をするならポートフォリオの一つにぜひ検討したい業界です。

メガ損保3社の時価総額ランキング

まずは会社規模を比較するために時価総額のランキングを見ていきたいと思います。

会社名時価総額(2023/3/29時点)
1位東京海上HD5兆2377億円
2位MS&AD2兆2371億円
3位SOMPO HS1兆8654億円
メガ損保3社の時価総額ランキング
[メガ損保3社]時価総額ランキング
[メガ損保3社]時価総額ランキング

時価総額で比較すると東京海上HDがダントツの首位でMS&ADやSOMPOは東京海上HDの半分以下の時価総額となっています。

配当利回りと配当成長率

続いてそれぞれの配当利回り(2023/3/29終値ベース)を見ていきたいと思います。
1位はSOMPO HDで4.85%と高い利回りになっており、2位のMS&ADも4.79%と高い水準となります。

会社名配当利回り(2023/3/29終値ベース)
1位SOMPO HD4.85%
2位MS&AD4.79%
3位東京海上HD3.89%
[メガ損保3社]配当利回りの比較

ただし現在の配当利回りが高くても今後増配されなければ配当株投資としての旨味がありません。また現在配当利回りが低かったとしても増配を繰り返していくのであれば長期保有する旨味があります。

今後も増配していく銘柄なのかを見るために直近5年間の配当増配率を見ていきたいと思います。

[メガ損保3社]配当利回りと配当増配率の比較
[メガ損保3社]配当利回りと配当増配率の比較

こうして配当利回りと配当成長率の散布図で見るとSOMPOの増配率の高さは頭ひとつ抜けています。

連続増配実績と減配リスク

次に連続増配の実績を見ていきたいと思います。
1位はMS&ADで10期連続増配予定、ついでSOMPO HD1が9期連続増配予定となっています。

会社名連続増配実績減配リスク
1位MS&AD9期連続増配(10期連続予定)ほぼなし
2位SOMPO HD8期連続増配(9期連続予定)ほぼなし
3位東京海上HD2期連続増配(3期連続予定)ほぼなし
[メガ損保3社]連続増配実績の比較

なお東京海上HDも資本水準調整のための一時的な配当を除外した普通配当だけであれば11期連続増配予定で、かつ原則減配しないと謳っているので、いずれの会社も減配リスクは極めて低く増配を今後も期待できると考えます。

配当性向とEPS成長率

配当金の源泉はもちろん利益となります。配当性向があまりにも高すぎれば今後の増配余地がなくなりますし、新規事業への投資もできないため今後の発展も見込めません。
配当性向が適切な範囲か見ていきたいと思います。

会社名配当性向(前期実績)
東京海上HD41.6%
MS&AD37.9%
SOMPO HD32.6%
メガ損保3社の配当性向比較

いづれの企業も配当性向を修正利益の50%を還元する(もしくは将来的に50%にまで引き上げる)としているため、配当性向に関しては持続可能な範囲であると言えるでしょう。

続いて配当増配率とEPS成長率の関係を見ていきたいと思います。
配当増配率が高くてもEPS成長率(つまりは利益成長)が伴わなければ今後も同じように増配を続けていくことはできないからです。
直近5年の配当増配率とEPS成長率の平均値を散布図で見ていきます。

[メガ損保3社]配当増配率とEPS成長率の比較
[メガ損保3社]配当増配率とEPS成長率の比較

こうしてみるとMS&ADが他の2社にくらべて見劣りします。
SOMPO HDは増配率は高いですがEPS成長率が低いため今後も同様の増配ペースを維持できるかは疑問が残ります。

東京海上HDは配当増配率とEPS成長率のバランスがよく今後も順調に増配を続けていけそうな安心感があります。東京海上HDは配当性向も現在は修正純利益の40%以上としていますが、中長期では50%にまで引き上げるとしているので東京海上HDの今後の増配の伸びには期待が持てそうです。

株価上昇率の比較

続いて株価が上昇しているのか、それとも下落しているのかを比較していきたいと思います。
いくら配当利回りが高く増配を続けたとしても株価が配当収入以上に下落してはもとも子もありません。

会社名株価上昇率
(直近10年)
株価上昇率
(直近5年)
株価上昇率
(直近2年)
1位東京海上HD12.3%10.4%22.8%
2位SOMPO HD11.5%5.8%16.7%
3位MS&AD7.9%3.0%13.2%
[メガ損保3社]株価上昇率の比較

いずれも株価は右肩上がりで上昇していますが、どの期間(直近10年、5年、2年)で見ても東京海上HDの株価上昇率が一番高いことが分かります。
東京海上HDが一番キャピタルの期待値が高そうです。

PER/PBR/ROEの比較

最後にPERとROE、PBRとROEを比較することで稼ぐ力がどれくらいあるのか、また割安なのか割高なのかを見ていきたいと思います。

[メガ損保3社]ROEとPERの比較
[メガ損保3社]ROEとPERの比較
[メガ損保3社]ROEとPBRの比較
[メガ損保3社]ROEとPBRの比較

ROEが高く、PBRが低ければ稼ぐ力がありつつ株価が割安であるということになりますが、ROEが高いものはPBRも高くなっており割安で放置されているものはない印象です。
東京海上HDは一際ROEの高さが際立っています。
SOMPOはROEの低さにしてはPBRが高く若干の割高感があるかもしれません。

なお損保は災害などによって業績が大きく左右されることがありROEも大きくブレますのでROEの推移も見ていきたいと思います。

[メガ損保3社]ROEの推移
[メガ損保3社]ROEの推移

ROEの推移を見ると19/3期はどこもあまり変わりはありませんでしたが、東京海上HDはしっかりと伸ばしてきている印象です。逆にMS&ADは伸び悩んでいる印象です。

なおROEは自己資本比率が低いと高くなりますので、ROEが高いだけでは注意が必要となりますが、ROEと自己資本比率の比較をしてみると極端に自己資本比率が低い銘柄はありません。

[メガ損保3社]ROEと自己資本比率の比較
[メガ損保3社]ROEと自己資本比率の比較

高配当のメガ損保株としてどれを選ぶか

ここまで様々に比較してみましたが、メガ損保株の中から投資対象にするのであれば私であれば迷わず東京海上HDを選びます。

東京海上HDを選んだ理由

東京海上HDはメガ損保の中で時価総額1位(5兆2377億円)であり、現在の配当利回りはメガ損保3社の中では一番低く3.89%となっていますが原則減配をしないと公言しており普通配当は10期連続増配の実績があります。実質的な累進配当銘柄であり今後も増配が期待できます。

配当増配率に関しては東京海上HD(12.7%)はSOMPO(18.5%)には負けていますが、EPS成長率はSOMPOは9.0%であるのに対して東京海上HDは11.0%となっております。
さらに配当性向は現在SOMPOが50%であるのに対して、東京海上HDは40%以上で今後は50%にまで引き上げるとしているので、今後の増配に関しては東京海上HDの方が期待値が高いと判断しました。

株価は右肩上がりで、直近10年、5年、2年のいずれの期間で比較しても株価上昇率は東京海上HDが一番でした。

[8766]東京海上HDの株価推移(10年月足チャート)
[8766]東京海上HDの株価推移(10年月足チャート)

株価上昇によるキャピタルゲイン、配当増配によるインカムゲインのいずれにおいても期待値が高く、安定感がある東京海上HDが一番投資したいと思わせる銘柄でした。
株価もSVB破綻の影響で3月配当銘柄であるにも関わらず先月から12%近くも株価は下落しています。明日、3月配当権利落ちでまた株価は下がるでしょうから、下がったところで積極的に取得していきたいと思っています。

メガ損保3社の銘柄比較は以上になります。いかがだったでしょうか。
個別の銘柄分析の記事は以下になります。合わせてご覧ください。

みなさんの投資判断の参考になれば幸いです。

※本記事は株式の取得、売却、保有等を推奨するものではありません。投資は自己判断でお願いします。


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